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サクッと行ける海外旅行についてつらつらと書いていきます

タイトルまんま。誰でも旅行に行けるんです、ということをちょっとだけ発信していきたいわけです。たまにテレビのことなど、非旅行のことも。

中国には無料で楽しめる博物館が多い(暑いときや雨のときは◎)

 とにかく蒸し暑い。少し歩くだけで、だらだらと大量の汗が噴き出てくる。宿のマネージャーから、「地元民が足繁く通う、このエリア一番の店があるから食べてきなよ」と渡された手書きの地図を握りしめながら、重慶の朝を歩く。「車のクラクションが目覚ましのように鳴り響く。この街はアラームが鳴りっぱなしだ。頭にクるぜ。Bloody Hell……」とか、ハードでボイルドな言葉の一つや二つでも言ってみたかったけど、実際のところは「マジで蒸し暑いんだけど、なにこれ、勘弁してよ、暑すぎるんですけど」と弱音しか吐いていない。

 牛肉面がオススメだというので、「微辣(ウィ ラー=少し辛め)」と一言添えて注文した。11元(約180円)。面は、米、小麦、刀削などから選ぶことができる。牛肉がすこぶる柔らかく、スープの辛みと香味の清涼感のマッチングが美味い。面も安っぽさがなく、東京で食べるなら800円は取られるだろう品質だ。スープは例え微辣でも完飲することはできない。地元民ですら、誰一人スープは飲み干していない。料理に関する詳しい記述は成都編に譲るが、ここ重慶四川料理の流れを汲むため、基本的に辛い料理を得意とする。特に、「火鍋」は“重慶火鍋”という独立した代名詞があるほどご当地フードとして有名らしい。入店前以上に大粒の汗をかきながら店を後にして、あっという間に500mlの水を飲み干してしまった。それほど蒸し暑く、辛い世界が襲いかかってくる。

 中国の水価格は、自国のものなら23元。その国の物価指数は、ミネラルウォーターにこそ顕著に表れると常々思う。ビッグマック指数以上に、ミネラルウォーター指数こそあらゆる物差しになると思うのだが。

 高速鉄道乗車までしばし時間があるので、重慶の街をうろつく。昨夜のSF感を目の当たりにすると、この街の昼間はいささか面白みに欠ける。ただただ、うだるような暑さが襲い掛かるので、屋内のスペースに逃げ込みたい。こういうときは、博物館や美術館に救いの手を求めるに限る。そんなゲージツ的な気持ちを抱きつつ、やってきました重慶博物館。

 いちいちスケールがでかい。モスクワの街を訪れたときも、そのスケールのデカさを前にして、街全体から睥睨された気分になったが、ここ中国も似たような睨みを感じずにはいられない。

 このときは、中国の陶器や茶器にまつわる特別展示が開かれており、涼みに行ったわりには、とても有意義な時間を過ごせた。しかも、驚くなかれ。この重慶博物館の8割は無料開放されており、上記陶器の特別展示すら無料で楽しむことができるのだ。これは重慶に限った話ではなく、上海や南京など中国各地の博物館の多くは無料で入館できるところが多いという。いくつかの理由があるのだが、人民の文化レベルの底上げをするために無料にしていること、さらには、博物館では自国の素晴らしさを謳うような展示品が数多く陳列されているため、「中国の文化スゲー! 中国は偉大だ」と思わせるプロパガンダ的な意味合いもあるのだとか。抗日的な展示物を掲げる博物館も当然のごとく無料なので、博物館や美術館に政治の片足がネットリと絡まっていることも付記しておく。後日、成都で知り合ったAさんは、南京の博物館を訪れた際に、「社会科見学として子どもたちに日本軍の行いを見学させている光景に出会った」と言っていた。いろいろ言いたいことはあるわけだが、オレやAさんの意見は、「とやかく言う前に、自分の目で直接見ること、身をもって触れることこそが大事だ」という結論に達した。

 中国のパブリックな場所には、必ず公安がいる。地下鉄や鉄道に乗る際は、必ず荷物検査がある。形式だけの簡単な検査で、絶対に精密ではないと思わしき機械に手荷物を通すだけだ。地下鉄の車内では、常に警察官が見回り、壊れた玩具のように車両を何往復もしている。そこに公安がいる、ことが重要であり、それ自体に意味はないのだろう。落し蓋のような存在であり、市民の煮くずれを防ぎ、権威の味を染みこませるために必要な道具、のようなもの。こういった光景は日本ではお目にかかれないため、外様であるオレの目からは非常に興味深く映った。次回は、いよいよ高速鉄道に乗る。